ビジネスが軌道に乗り始めてからしばらくは、忙殺されるような日々が続いた。僕が気をつけていたのは、毎日ジムに通うことだった。
最初は24時間制の安価なジムに通っていたのだが、独立後二年目に突入したタイミングでハイクラスのものに変えた。カフェが併設されていて、ここで友人を作れたことも後々にプラスに働いたと思う。平日昼間にちょっと高めのスポーツジムにいる男性は、自営業のことが多い。
仕事に追われる毎日を過ごしていると、不摂生がたたって体がおかしくなってくる。贅肉もついてくるし、顔色も良くないし。社長が不健康そうだと大きなマイナスだ。やはり見た目に気をつかっていないといいことはない。体臭や贅肉といった生活感を出しそうな要素は徹底的に排除するようにした。
「いつ会ってもお若いですね」
と良く言われるようになったのはこの頃からだ。男は若く見えすぎると出世できないとかいう奴もいるけど、そんなのは昔の話だと思う。僕はとにかく若く元気に見せるように心がけた。健康そうな人間は成功しているように見えるから。そのイメージが頭にあると、いい話も持ち込まれやすくなる。